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水力発電システム(その1)
1.水力エネルギー
日本は降雨量が比較的多く、火山国特有の急峻な地形が多いことから、川の数が多いことや流れが早い川が多いのが特徴で、今後も水力エネルギー利用への期待が高まっています。最近は、従来の巨大なダム式の水力発電ではなく、自然の流れをそのまま利用したものや、用水路や工場廃水などの人工的な水流を利用したものなど、従来の水力発電のイメージと比較して、ごく小規模な水力発電(マイクロ水力)システムも注目を集めるようになってきました。
川は、広い大地に降り注いだ雨が、集約的に集まってできた水の流れであるため、水力エネルギーは、他の自然エネルギーと比較してエネルギー密度が高く小規模で大きな出力が得られるのが特徴です。
水の流れの持つパワーの大きさ(kW、W)は、以下の式で表されます。(単位にご注意ください)
又は、
上式より、水力のパワーは、落差と水量に比例することが分かります。
例えば、水力のパワーが同じであっても、落差が大きい場合には、水量が少なくて済み、反対に落差が小さい場合には、大きな水量を必要とします。
このことから、落差と水量の関係によって、水力発電機の形態や形式も大きく異なるのが、水力発電の特徴で、落差が大きい方が扱う水量が少なくて済みますので水力発電機本体も小さなものでよく、反対に落差が小さく扱う水量が多いような場合は、水力発電機本体が大きくなることが分かります。
2.水力発電の特徴
比重の大きな水の流れを利用していますのでエネルギー密度が高く、小規模な発電システムで大きな出力が得られます。
また、太陽光や風力エネルギーと比較して、水力エネルギーの運転状態は安定的であり、24時間、通年にわたって利用することが出来る場合が多いので、非常に使いやすく有益で魅力的な電源システムを構築することが可能です。従って、水力エネルギーが利用可能な状況にある場合には、太陽光・風力エネルギーの利用よりも優先して水力エネルギーを利用することを検討します。
数メートル程度の落差が得られるようなちょっとした水流があれば、民家1軒分の電力をまかなうことも可能です。また、個人レベルのDIYでも日用大工が得意な方であれば水力発電機を製作することも不可能ではありませんので、是非とも積極的に取り入れたいエネルギー源のひとつと言えるでしょう。
ただ残念なことに、水力エネルギーはそもそも局所的に偏在する集約的なエネルギー源であるため、誰でもどこでも得られるエネルギー源ではなく、限られた条件、すなわちある程度の落差や水量が得られるような水の流れのあるところでのみ利用が可能なエネルギー源です。
3.流量と落差で変わる水力発電機の形式
(1)高落差
高落差が得られるような環境では、水の水圧を利用して発電用のタービンを高速で回転させて発電します。
位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、高速の水流をタービンに当てます。落差が大きく扱う水量が小さくて済みますので、タービン部分の小型化が可能です。通常のダム式発電所や揚水式発電所は、すべてこの形式で、代表的なものに、ペルトン型、フランシス型の発電機があります。
小規模の発電システムの場合は、高落差の原水を得られる環境が少ないため、適用事例は多くありません。
(2)中落差
数メートル程度の落差の場合は、水の落差をそのまま位置エネルギーとして利用する上掛け水車タイプのものや、運動エネルギーに変えて水の流れの勢いでタービンを回すターゴ型、カプラン型のタービン・タイプのものなどがあります。
小規模な水力発電システムとして、もっとも適用事例が多く、様々な製品があります。
(3)無落差
川や用水路のように落差がほとんどなく、流れる水の運動エネルギーにより、タービンや水車を回す形式です。
日本でも、水車の下端を流水に浸漬した下掛け水車が、粉ひき目的などで広く用いられてきた歴史があります。所定のパワーを得るために扱う水の量が多く、発電システム本体が大きくなってしまいますが、もっとも簡単な水力発電システム形態と言えます。
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